学習まんが少年少女 人物日本の歴史福沢諭吉

学習まんが少年少女 人物日本の歴史福沢諭吉 の詳細

少年少女人物日本の歴史第二十五巻の｢福澤諭吉｣を興味深く読ませていただきました。もう既に知ってゐる事ばかりの内容かと思ひきや数々の新しい情報を得たぞといふ感触を感じてゐます。先づ、若き日の福澤諭吉のｴﾋﾟｿｰﾄﾞが結構詳しくちらばめられてゐる事です。学問好きの父親が前から入手したいと思ってゐた書籍を手に入れる事のできた日は、奇しくも諭吉誕生の日であり、名前の由来もその書籍｢上諭條例｣に基づいてゐました。長崎遊学の経緯や諭吉の学問で立って行かうといふ時々の思ひには新鮮な感銘を覚えました。二つには、新しい転換期に立った時の諭吉の潔い覚悟ある行動を改めて認識した事です。横浜開港場でｵﾗﾝﾀﾞ語が通ぜずその時点から英語を独学し始めた行動力は凄いですし、慶応年間に再度の渡米をした折には幕府の将来を完全に見切った発言してゐた事もさうです。そして、明治維新後直ぐに進んで自らの武士身分をあっさり捨ててゐる事です。三つには、諭吉が兄の死後福澤家の家督を継いだ時に中津を出て学問をしたいと母親に申し出た所、その願ひを氣持よく認めた母親の度量ある態度について今回初めて知りました。四つには、手塚治虫の｢陽だまりの樹｣に出て来る適々斎塾の様子風景は、福澤諭吉が残した情報に基づいてゐたんだなと再認識した事です。本書の記述は、諭吉の生ひ立ちから幕末位がかなり詳しく描かれゐる一方で、明治以降の部分は残念ながら不十分な感じを覚えます。さういった点は、今後は別な場で学んで行ければと思って居ります。兎に角、本書で等身大の福澤諭吉を知る事ができたのはよき収穫でありました。